昨日書いた『バルカン超特急』のことで、

唐沢俊一氏がこんなことを書いていたのを発見
した。＜映画にとって大事なのは、その犯罪が
いかに行われたかであって、何故、行われたか
ではない。ヒッチコックは、事件の鍵になるも
の（何でもいい）を、「マクガフィン」と名付
けた。それは、映画の中で大事なものだ、とわ
かっているが、さてそれがどのようなものであ
るか観客は知る必要のないもの、である。
　
　例えば『バルカン超特急』で、老夫人の歌う
メロディーに隠された、ヨーロッパを戦争に巻
き込む陰謀を伝える暗号。
　また例えば、『汚名』の、ワインのビンに詰
められたウラニウム。
　
　このマクガフィンがナンセンスなものである
ことは言を待たない。欧州全土の命運を握るよ
うな重大な秘密が、なんで数小節しかないメロ
ディーの中に暗号として織り込めるのか。
（中略）
　大事なのは、その映画を見ているあいだじゅう
は、その中のマクガフィンが意味あるものに見え
ることである。（後略）＞
　＜『ＳＦアニメがおもしろい』アスペクト刊＞