長谷邦夫はてなダイアリー・アーカイブ

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ミルト・グロス

手塚論のための「メモ」など。
 ここへ、ちょっと貼り付け。

本書で魅力的なのは、実は後半です。手塚治虫が影響を受けたと述懐している海外マンガ、ミルト・グロス『突喊居士』とジョージ・マクマナス『親爺教育』。この二作について、戦前の「新青年」、「アサヒグラフ」、単行本、さらには原書の復刻版などに直接あたるという実証的なことをしています。

 さらに手塚治虫地底国の怪人』のモトネタになったベルンハルト・ケラーマンの小説『トンネル』についての文章もおもしろい。

 中野晴行酒井七馬伝』と本書の刊行によって、オリジナル版『新宝島』復刻か、と思わせる機運が高まってきたようです。『

漫棚通信」さんのブログから、貼り付けさせていただいた。スミマセン、勝手なことで。
 手塚マンガにおける、「見開き・群衆シーン」の多いことに関して、グロスが無視出来ない、
 という点を、知りたい。
 グロスのマンガが見られれば〜とは思っても、古書では、小生のような貧乏人では
 買えません…トホホなんで。

トムとジェリー』(アニメ)にも、監督?とかで関係したらしい。

★★このようなモノもある。

 >アニメ版と原作版では最終回に違いはあるのか

アニメは3回作られて、爆弾を抱えて…は最初の白黒アニメの最終回でしょう。後のアニメはもっと前向きな話で終わっていたと思います。

原作の漫画も最初はアニメと同じ最後だったのですが、続編の『アトム今昔物語』を描く為に、本当は爆弾を抱えたアトムが未知の宇宙船の爆発に巻き込まれてタイムスリップ。過去の世界で生きていた!という具合に設定が変更されました。で、過去の世界の壊れかけたアトムは、新品のアトムが誕生した日に自ら犠牲となって消滅し、アトムの物語はエンドレスに続くことになりました。

#3の方のリンク先にある短編漫画では、人間がロボットの娯楽の為に殺し合いをさせられる超未来の世界が描かれてます。主人公の少年が、博物館の中に展示されていた人間に味方する原始的なロボット「アトム」を復活させて脱出を試みるが・・・という話で、これが作家としてアトム物語との決別を描いた作品だ!と認識している読者も多いです。

★「東京新聞」にかつて書いたモノ★
『謎のマンガ家・酒井七馬伝』(中野晴行筑摩書房
       

 本書は戦後日本のスト−リーマンガ発展の根幹に関わる大きな謎を、酒井七馬という異能のマンガ家の生涯を徹底取材することによって探ったもだ。一読しまるで小説『ダヴィンチ・コード』を読むようなミステリアスな興奮を味わった。

 手塚治虫ファンならば彼が赤本として描いた『新宝島』が四十万部も売れ戦後の<物語マンガ>の起源的な作品となったという伝説を知っているであろう。その作品の原作・構成者が酒井だ。だが不遇のまま飢餓と孤独にさいなまれ、死んだという噂があった。

 さらに「手塚虫漫画全集」では『新宝島』は描き直され、酒井の名前は無い。なぜ手塚は共作者を無視し完全復刻を拒んだのか?謎に謎が加わり、真相は不明だったのだ。このやっかいな謎に挑戦し解明したのが『マンガ産業論』(筑摩書房)などで評価の高い中野晴行だ。

 彼は大阪で七馬の甥に当る酒井隆道を探し当て、昭和初年代の大阪での七馬青年の活動を調べあげていく。昭和四年、新聞社のマンガ記者になった彼は十年には日活京都でマンガ映画『忍術火の玉小僧』(田中与志監督)の作画を担当し、十五年には兵士慰問袋用のマンガ単行本を執筆してヒットさせている。
 
 三五才のときだ。戦後もすぐマンガを描き、二一年にデビュー直後の手塚と出会い新宝島』の合作を進めた。
 本書には多数の発掘画像が掲載されているが、その酒井の作画表現力は明らかに当時の手塚の能力を超えており、『新宝島』で話題となるコマ割りと構図変化による映画的表現は酒井からの提案によってなされた可能性が高いと思われる。

<酒井は戦後ストーリーマンガの父親的存在だ。>と著者は言い放つ。さらに<私は狂信的な手塚ファンのひとりだが、全集版『新宝島』だけは好きになれないでいる。>とも書く。
風刺・アニメ・ストーリー物・絵物語・紙芝居と越境し続けた酒井を正し位置付けたマンガ史が書かれるべきだ。そうこの本は切実にうったえている。
(「東京新聞」掲載)
注*『来るべき世界』とは直接関係は無い。
   こういった時期を経て〜ということ…。


●コンビニへ買い物に行ってきた。
夕方、昔書いた『漫画の構造学!』(インデックス出版)の
 『来るべき世界』論の冒頭を、少々簡略化しつつ、書き直しつつ
 入力してみた。
 このテキストが基本である。