長谷邦夫はてなダイアリー・アーカイブ

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教科書指定

★宇都宮の専門学校〜小説演習〜の、教科書指定をせよ!
 というメールが来た。
 拙著『桜三月散歩道』(水声社)を指定。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%82%8B%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AC%E5%AE%B6%E3%81%AE%E8%87%AA%E4%BC%9D-%E6%A1%9C%E4%B8%89%E6%9C%88%E6%95%A3%E6%AD%A9%E9%81%93-%E9%95%B7%E8%B0%B7-%E9%82%A6%E5%A4%AB/dp/4891768878/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1329200761&sr=8-1

■ネットで、清水哲男氏(詩人)は『増殖する俳句歳時記』なるサイトを、古くから運営されている。
 有名句の解釈や話題…が中心だが、ほかのページでは、日替わりで、別の方がやはり句の紹介と
 それへの想いを書き、観賞しているのである。
 ぼくは、時折覗いていた。ところが、先般、小生が『桜三月散歩道』を刊行した際に、ここの書き手
 の一人、八木忠栄さん(詩人)が「東京新聞」に書評を書いて下さり、その件でお便りも戴いた。
 その便りに添えられていたのが、<増俳>の水曜担当で、俳句についても書いているので、とテキスト
 を同封してあった。
 それを見ると、何と拙著内に掲載した、ぼくの句だったので、ビックリした。
 以下、そのテキストを、この日記に貼ります。
(清水さん、八木さん、どうぞ、この勝手を、お許し下さいますよう!!こうして、つたない小生の作品
 を、紹介していただけるなんて、夢にも思ったことはありません。今回の本を書いて、良かった!!と
 思います。有難う御座いました!)

◎以下、貼り付け◎

長谷邦夫

大腸の如き路地あり冬銀河
 

この「路地」は特定しなくとも、どこの街にもあって猥雑な雰囲気をもった路地を想定してかまわない。でも、作者は「新宿漂流」なるタイトルで詠んだいくつかの俳句がある、と断わっているからこれは新宿にある路地だろう。大腸のようにうねくねとした新宿の路地と言えば、酒場が軒をつらねている界隈ということになろう。すっきりととりすました健やかな界隈ではあるまい。深夜、酔って良い機嫌になった連中が、うるさい声をあげながら路地をうろつきまわっている光景が見えてくる。ふと見あげれば冴えわたる冬空に、銀河がくっきり横たわっている。銀河と路地、どちらもうねっているという対比。邦夫は「少し古い新宿を知っておられる方ならば、多少は感じていただけるか……」と付記し、さらに「これはゴールデン街内にはない店や場所を詠んでいる」と断わっている。とすると、さてどこらあたりか? まあ、新宿にはゴールデン街や柳街、小便横丁に限らず、大腸や小腸のごとき路地はあちらこちらにあった。邦夫は詩人でもあり、赤塚不二夫を支えた漫画家。かつて清水昶の「俳句航海日誌」にも、多くの俳句を書きこんでいた。他に古い新宿を詠んだ句に「永き日や『風月堂』で一茶論」がある。『桜三月散歩道』(2011)所載。(八木忠栄)